第11回科ボ研 分科会3「放射能・放射線」

先月の話を今頃で申し訳ありません。

ブログにも予告してましたとおり、12月に、第11回全国科学教育ボランティア研究大会in千葉に参加してまいりました。早朝、前の晩に皆既だった満月を眺めながらの出発で、千葉は遠かったです…。

お話させていただきましたのは、分科会3の「放射能放射線を知るために」でした。原発事故があってのこの分科会でしょう。素人同然の私でしたが、5月に放射能のテーマでサイエンスカフェ(対話の場)を、千葉近くの茨城で開催したことが、担当の方の目にとまったということだそうです。

私の前に、石川高専講師の戸田一郎さんによる、「自然放射線の鮮やかな飛跡を観る」という実験がありました。写真をいくつかご紹介しましょう。

私の目の前にも、これ、

「はかるくん」がありました。千葉の室内の空間線量率はこのくらいでした。


一方、こちらは、いわきの山の方から取ってきたという杉の落ち葉です。その上に置いて測ると、空間よりは高い値が出るのがわかります。


その落ち葉を灰にして、放射線を見るための霧箱の中に入れると、このような感じに見えました。先生が用意された霧箱の中をカメラで撮影してスクリーンに投影したものですが、灰の山から、ひょろひょろと白いひもののようなものが見えます。これが、放射性セシウムが出したβ線だということです。


こちらは、はかるくんIIによる、β線のカウント数(単位忘れました)。左が普通の食塩に対して、右がカリウムを多く含む減塩です。カリウムが多く含まれると、放射性カリウムもあるわけですから、カウント数が高いのがわかります。

と、こんな感じで先生が用意されてきたものが次々に紹介されました。実習内容も、豊富でした。普段は1時間半のところを、1時間に無理やり縮めて行ったそうですが、本当に盛りだくさんでした。


参加者30名程度がいくつかのグループに分かれて作ったのが、メインの実習、こちらの霧箱です。α線の飛跡がよく見えます。


こちら、すみません、何か忘れちゃったんですが(トリウム? 放射性物質を含む鉱物?)を入れた時の様子です。花火みたいにいっぱい飛跡が見えます。

という感じで、何かメモする間もなく、次々と放射線を見えるようにする実験を見せていただきました。

印象に残ったのは、霧箱ラドンを入れた時に教えていただいた、「V字に飛跡が見えることがあるが、これは、220Raがα崩壊し216Poになり、それが半減期0.145秒でα崩壊して212Pbになっているところ」というところでした。目の前の、ここで、原子核が別の原子核に変わっていて、しかもそれが目で観察した結果でわかる、というのに驚きました。他にも資料もいただきましたが、α線の飛跡の長さでエネルギーを計算したりなど、霧箱の観察でわかることがいろいろあるそうです。考えてみればそうでしょう。放射線放射性物質が発見され続けた頃の観測装置って、こういうものだったのでしょうから。そして、これを使って物理学者たちは研究を続けたのです。

霧箱実験。大学や研究所一般公開、科学館などでいくつか見ましたが、「白いひものようなものが、見えてますねー」だけの印象だったのですけど、こんなにいろんなことがわかるものだとは、知りませんでした。霧箱、あなどれません。



さて、興味深い実験の後は、私のこの数カ月の苦悩の話です。

まず最初に、参加のみなさんに質問させていただきました。「放射能放射線原発事故による汚染度に関してごくごく基本的知識はあるのか」については、あると挙手された方が数人程度。情報量も半端じゃないので、自信がなくて手が挙げられなかった方が多かったかもしれませんが、影響を受けている地域以外(西日本など)からいらっしゃってるので、そもそも身に迫った問題ではないと感じてらっしゃる方もいらっしゃったように見えました。

なので、「これから、科学ボランティアとして、不安をかかえた方(家族友人含む)とお話する機会があるか」という質問についても、3分の1くらいの挙手だったでしょうか。科学に関心ある方でも、意外と少ないのだなと思ったものです。

その後は、サイエンスカフェという場の特徴について紹介と、私がやってきた活動(特に5月のサイエンスカフェ水戸の企画)、そして、水戸(近辺)で行われている放射能についての学びや対話の場を挙げました。この(イベント)リストはそのうち、別に紹介したいと思います。

そして、今後どうしたら良いかについて、いくつか私見を述べさせていただきました。私自身も、まだまだ悩み中なのですけど。

事故の影響をかぶったこの体験(苦悩の連続)が、少しでもみなさんの活動のお役に立てればと思います。