茨城の大地の成り立ちを考える地質観察

10/16(土)に行われた体験型野外観察会「茨城の大地の成り立ちを考える地質観察」に、親子で参加してきました。茨城大のみなさんが茨城県北ジオパーク構想という活動をされてるのは1年前から知っていたのですが(そういえばアゴラでも突撃しました! こちら)、体験型イベントにいよいよ初参加です。

ちなみに、このイベントのちらしを発見したのは、市内の夏休み理科自由研究作品展が開かれていた会場でした。すぐに「これは(大変だけど)おもしろそうだ」「うちの子供たちにもうけるはず」と思ったものです。基本的に対象は中学生以上ということではありましたが、問い合わせのメールにもすぐに詳しくお返事いただけまして、安心して参加することができました。

朝、地元の高校に集合し、2台の大型バスに乗り込んで現地まで。ちなみに、やっぱりうちの子供達が最年少の部類でした。


到着してバスを降りて、1つ目の見学ポイント、阿字ケ浦の海岸に集まった参加者のみなさんです。こーんなにいっぱいでした。子供参加者の半数くらいが、集合場所にもなった高校の生徒さんのようでした。

と、ここで当然、先生方が解説してくださるわけですが、興味の向くままに立ち止まったり話かけてきたりどこかへふらふら歩いてしまう子供たちを追うのでせいいっぱいで、私自身は(も)なかなかじっくり観察&勉強というわけにはいきません。早速ですが、こちら、


まずは、海岸に転がる穴のあいた石に夢中でした。確かにこれは驚きです。ただしこれは、化石などではなく、今(少し前まで)生きていた貝が石に住み着き、酸を出して溶かして作った穴だそうなのです。穴の中にまだ貝殻が残っているものもありました。…というのを、地質や化石が専門の先生なのにすらすらと教えていただきまして、こちらはもう「先生、何でも知ってる!」って感じでした。


この阿字ケ浦には高さ15mほどの崖があります。上側が12.5万年前の地層、写真ではあまりよく写っていませんが、真ん中あたりに木や草が茂っているその下側が2000万年前の地層だそうです。上はまだ固まっていない泥状でもあるので雨水がしみ込むのに対して、下は固まって泥岩になっているのでその上部に水がたまって草が生えているのだとか。崖の下に近づいての観察もしました。水がだらだら(場所によってはジャバジャバ)したたり落ちておりました。

そこから南へと歩いてゆき、2つめのポイント、


磯崎灯台下の海岸の岩です。白亜紀のものという磯合層が岩として出ているのですが、それが斜めになっているので、その傾きをクリノメーターで測ります。

というはずだったのですが、上の子はそういう装置を使いたがったわりには角度の勉強さえまだなので、さっぱりわからず飽きちゃってしまって。当然ながら、磯の生き物探しになってしまいました。貝とかカニとか虫とか…。それも楽しいんですけどね。


さらに南へ向かったところ。3つ目のポイントにも、海に向かった切り立った崖があります。これは、12.5万年前頃に堆積したという、小石の層、もっと小さい石の層、砂や土の層などで、とてもきれいな状態でした。「おいしそう」とつぶやいていた人がいたくらいですしね。ちなみに、この観察ポイントへ登るところが(も)崩れ易い斜面でしたが、下の子は下りにて、おしりですべり降りたのは言うまでもありません。その方が転ばなくて良いのですが、見事に茶色く汚れました…。

4つ目のポイントは、そこまで降りることができませんでしたが、海から出て見える岩の斜めの向きが、2つ目とは違うものでした。海岸沿いに磯合層の斜めにつき出た岩が何カ所でも見られるのですが、言われてみると、そう、ここだけ逆向きなのです。このようなものを「逆転層」と呼ぶそうです。ただなんとなく眺めてると気付かない海岸の風景ですが、そういうふうに説明され、過去に大きな力が働いたと思うと、随分と違って見えるものです。

5つ目のポイント付近で昼食となり、その後、この場所の観察となりました。こちらも、斜めの岩が海面からいくつも顔を出しているところです。打ち寄せる波が岩で砕かれ、まるで「東映」の映画の冒頭を見るような感じでしたが、本当の撮影場所はどこなのでしょうかね? ここでも、その岩の向きを測るはずだったのですが、子供達は磯遊びへ。「裸足になって入ってもいい?」とお願いされ、許したのはいいものの、砂だらけになった足を洗うところなんて付近にありません。持ってきたお茶でぬぐって支度をさせていたら、完全に出遅れました。


ちなみに、この岩のあたりで数年前に翼竜の化石が発見されたとか…。そう言われると、なんだか急に下の岩ばっかり見るようになってしまいます。といっても、素人がわかるレベルではないでしょうが。

6つ目は水戸光圀が「清浄石」と名付けたところ。しかし、潮が満ちていてほとんと水没しててよくわからずに残念。

そうして歩いているうちにいつの間にやら平磯海岸へ。くじらの大ちゃんの看板もちらほら見えはじめてきました。そんなところにある7つ目のポイントは異常巻きアンモナイトが発見されているところですが、こちらも海水にひたっていて近づけませんでした。一番のお目当てが化石採集だった子供達はちょっと残念そう…、でしたけど、既に仲良くなった友達とふざけたりするのに夢中で、ここではもう、ほとんど観察そっちのけになっておりました。

そこからバスで移動し、最後は大洗海岸にて石拾いです。


石拾いといっても、いろいろなところから運ばれてきたという、砂岩、泥岩、花崗岩安山岩、チャートなど、5種類以上を発見するのが課題でした。トイレに行っていて出遅れましたらもう、写真のとおりみなさん、宝探しに夢中です。表面は風化していてどんな石かはっきりわからないものもあるので、ハンマーで割ってみるのですが、表面とは全く違う色が出たり、模様があったりして、これもなかなか新鮮な発見でした。

そう言われると、子供達も夢中になるものです。私の知らないところにて、見つけた石を次々に先生のところに持って行って見てもらっていたようです。戻ってきて「5種類全部見つけたぞー!」と威張るものですから、「じゃ、どれが何なの?」と尋ねるのですけれども、数歩歩いただけで忘れてしまう有様…。


というわけで、こちらが持ち帰った石の一部です。現地では、ハンマーは子供に取られたので割って新鮮な面を確認することもあまりできず。でも、色やぶつぶつ感などが違うから、多分、それなり集まってると思います。あとで確認したいけど、専門家じゃないとわからないでしょうか…。


一方で、この場所には化石を含む石も転がっておりました。左は、学生さんからいただいたもの。割った面に化石がありました。右は自分で見つけたものです。右のを先生に見てもらったところ、殿山層に含まれる約1200万年前(新第三紀中新世)の貝化石ではないか、とのことでした。

アンモナイトセンターで化石採集をしましたが、あんなふうにがけに向かってハンマーをふるうのではなく、こういった海岸にも化石を含む石って、あるところにはあるものなんですね−。

そんな感じで朝から夕方まで子供たちとたっぷり遊んで帰ってまいりました。子供達も、化石のお土産は少ないものの、満足した様子です。

高校生の参加者には、「これは“地学オリンピック(の問題)”に必ず出るからね」など、ちょっと厳しい言葉も飛んでいたようですが、そんなことを気にせずとも参加できるものだったことに、すっかり安心しきっておりました。

機会がありましたら、また行きたいものです。やっぱり、説明してくださる人がいると、いつもの風景が違って見えるというのは、どの分野も同じかもしれません。