サイエンスカフェ「宇宙の天気を予報しよう」

告知いたしましたとおり、サイエンスカフェ、やってまいりましたので、そのご報告です。

その前に、7/5(月)夕方の茨城放送出演も、無事に役目を果たしてまいりました。

カフェゲストでもあります茨城大院生の永野さんが「宇宙天気予報について」について簡単に説明され、私の方からは「サイエンスカフェというイベントはどういうものなのか」といったことについて、話してきました。事前に質問をいただいており、限られた時間内で何を話すべきか考えておけたので、サイエンスカフェの本当のねらいや講演会との違いなどについて、せいいっぱい伝えられたのではないかと思います。

録音したものをいただいたのですが、私自身はまだ聞けてないんですよ。県内外でラジオを聞かれた方、どんな印象だったのかお聞きしたいものです。

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さて、いよいよ当日です。外はあいにくの曇り空。時折、小雨。


水戸市水府町のカフェ「ぐるんぱ」さんです。


1階のお部屋は会議室のようでもあるのですが、テーブルで6つの島を作って椅子を配置してみました。そこで、さっとテーブルクロスが出てくるあたり、やっぱりカフェでやって良かったなぁ、と思わされます。


最初の30分程度は、ゲストの永野さんによる「宇宙天気予報」のお話です。

人工衛星が飛び回り、宇宙飛行士が活動する地球周辺の宇宙空間において、いろいろなものが影響を及ぼすわけですが。その前提として太陽活動の紹介あり、地球の磁気の説明ありで、聞き慣れないことも多く、けっこう難しかったかもしれません。でも、そこを、いろいろな図を使って話していただいて、単なる宇宙についての導入部分だけではなく、現在どのような研究が行われているかや、何が問題になっているかまで到達することができたのではないでしょうか。

余談ですが、会場が「へぇ〜〜(目からうろこ)」という雰囲気に包まれたのは、地元茨城県筑波山近くにある、柿岡というところで地磁気を観測していること(世界中でも数カ所しかないので、とても重要なところ)。そして、そこで観測しているからこそ、常磐線のその近くの区間では、電車が直流電流ではなく交流電流で走らなければならない、ということでした。電車のまめ知識だけではなく、柿岡の観測がどう使われ役立っているのかまで聞けたのも、今回のテーマであったからこそでしょう。


お話の後、10分ほど休憩を入れて、その間に注文した飲み物がテーブルに配られました。

サイエンスカフェにおいて、こういうアイスブレイクの時間を持つことは有効だというのはもちろん知ってたのですが、目の当たりにし、ちょっとびっくりいたしました。ファシリーテータは「走りテーター」と言われるとおり、こちらがあれこれ連絡調整で動きまわっている間に、みなさんそれぞれのテーブルで盛り上がってるんです。特に「話して下さい」とかアナウンスした覚えもないのに。

なので、その後の質問タイムでも、切れ目なくいろんな方が発言されました。

  • 太陽の活動周期についてから地球温暖化との関係
  • 私たちがいったいどういうふうに身近に宇宙天気の情報を利用できるのか
  • 過去の人工衛星の故障の例
  • スペースデブリの問題
  • 実際に、宇宙天気予報値が危険なレベルに達した時にはどうするのか

などなど…。いろんな話が出るうちに、「なんだか難しそうだな」という宇宙天気予報が、科学技術を無事に発展させる上でも、発展させた上で私たちが便利になったり地球や宇宙のことを知る上で、大事だということがわかっていただけたのではないかと思います。宇宙飛行士や探査衛星の活躍ってとっても華々しく報道され、みんなが注目しますが、こうして宇宙天気予報を研究している人もいるおかげで成り立っているんですね。


予定どおり19時少し前にカフェの時間を終えて、その後少しだけ、参加者のある方に「コカリナ」という楽器を演奏していただきました。このサイエンスカフェをやる前の時間帯にこの部屋で教室をされていたという方で、遅くまで残ってカフェにも参加していただきました。


この日最後のコーナーは、水戸市移動天文車の職員でもあります中川さんによる、自作プラネタリウムの投影です。白い壁の部屋とはいえ、四角い天井に投影するのでちょっと変わった形の星空にはなってしまいましたが、でもご自身で一つ一つ穴をあけたという何万個もの星たちは、圧巻でした。夏の大三角形ペルセウス座流星群などの説明の後は、どちらかといえばこのプラネタリウムを「作った」ことに関して質問がいくつか出ておりました。

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さて。科学技術コミュニケーターなファシリテーター(司会、他)として、今回のカフェの感想などを少し。

とにかく、場を提供してくださったぐるんぱさんがサイエンスをテーマにイベントすることにとても協力的だったこと、そして、お店の常連さんに案内していただき、そこからの申込みが半数近かったことが、一番嬉しかったことであり、新しいことができた!と堂々と言える点ではないでしょうか。

もちろん、お話された永野さん、研究室の野澤さんが、サイエンスカフェスタイルをよく理解してくださった上で準備されたことで、みなさんと一緒に楽しめる雰囲気ができあがったのだと思います。特に、永野さんにとっては、良い経験になったことでしょう。

一方で。七夕にやりたいので平日に。でも、閉店時刻から逆算して夕方5時から。けど、欲張って観望会までしたいと長い時間設定ではありまして、お勤めの方にも、そうでないお子さん連れの方にも微妙に参加しづらい時間帯ではあったかもしれません。このあたりは、また考える余地があるでしょうか。

広報手段も、新聞や地元情報誌、その他いろいろまんべんなくできたかというと、そうではありませんでした。twitterも含めて口コミのような形で広めていただいたのは良かったのかもしれませんが、「大学や研究に縁のない方にも是非参加して欲しい」というのを実現するためにはどうしたら良いか、改めてよく考えたいところです。

というわけで、いろいろな意味で私にとっても水戸での大きな一歩となりました。これを是非、早いうちに次につなげたいものです。


最後に。

私自身がひそかに読者でありました「水戸梅日記」さんに紹介されました。感激です。とともに、さすが情報に敏感だなと思わされました。