学校を語りなおす

水戸にて唯一サイエンスカフェを開いたことがある(多分)、茨城大学の伊藤先生に連絡をとったのが、2月末。それから、お会いして、サステナ部サイエンスカフェについて教えていただいて…。(他にもちょこちょこやってまして)少しづつですが、人のつながりができつつあるこの頃です。

そんな伊藤先生に紹介していただいた何冊かの本のうち、こちら、

往復書簡・学校を語りなおす―「学び、遊び、逸れていく」ために

往復書簡・学校を語りなおす―「学び、遊び、逸れていく」ために

を図書館で見つけたので、読んでみました。中に、「もし学校に『カフェ』があったら」というアイディアも出てきます。

誰もが通うことになる、通ったことのある学校について、より良くするために、何が問題なんだろう? どうしたらいいだろう? というアイディアが、伊藤先生ともう一人の著者である山崎さんとの往復書簡という形で、交互に語られています。文体が、相手に対する手紙になっているので「〜〜ですね。」みたいな話し言葉になっていて、親しみ易い文章です。また、この交互という形式が、前の文章で「よくわからないな」と思ったことも、もう一度、同じ文章を引用しつつ「こういうことですね」みたいに解説されていてわかりやすくできています。

中ではもちろん、著者お二人の学校での体験、学校らしくないけどおもしろくて印象に残っててためになったことなど、いろいろ紹介されています。そんなのを読むと、「自分の時もこんなことがあった」「学校(という枠内)だったけど、こんなことにチャレンジしてみた」ということは、いくつか浮かんできます。えぇ、放課後に他校に頻繁に遊びに行ってたこと、放送委員会において番組を自作して流したこと、など。昔の田舎っ子であっても制限された中で何かしらやってて、特に「一緒にやろう」というはじけた(?)先生はいなかったけど、だからといって制限もせずにそっと見守っていただけてた気がします。

学校に「カフェ」の件。保健室でコーヒー飲みながら保健の先生とおしゃべり、という体験から出たアイディアでした。これは、サイエンスカフェでの「専門家と参加者は対等」というコンセプトに似てるように見えます。一方、サイエンスカフェでは「ジュニアサイエンスカフェ」の実例がいくつかあります。しかし、これまでちらちら見聞きしてきたそれとはちょっと違うなという気がしました。いえ、ジュニアサイエンスカフェの実践例が出張授業っぽくて、なかなかその、リラックスして本音で語るようにはなってないのではないかという印象です。このあたりも、サイエンス分野の活動が先を行っているというよりは、チャレンジしてはいるものの、まだまだ啓蒙的で課題満載というところでしょうか。

そんな感じで、アイディア豊富。言い方を変えれば「話題があっちへ行ったりこっちへ行ったり」もしているこの本ですが。それでも最後には、この本だけでは語りきれない部分もあったと書いてあります。そこで、私から見てどうしても「足りない!」と言いたくなるのは、女の子の視点です。

本の冒頭では「ゆとり教育による学力低下の認識」が問題として挙げられていますが、女子にとっての学力は、もしかしたら、男子よりもあまり重要ではないかもしれません。また、いくつかの「いたずら」や「チャレンジ」、つまり「逸れてゆく」の例が出てきますが、そんなアイディアや実行力は、女子からも同じように出てくるでしょうか? 「男子ってバカだよねー」「そんなんやってないでマジメに勉強すれば?」なんて、冷ややかな目で見てそうです。一方で、まだまだ女性も男性のように社会でばりばり活躍できるとも言い切れない世の中です。中には「あんたは無理に大学なんか行かなくていい」みたいに言われてやりたいことを制限されている子もいるでしょう。適当に勉強してそこそこの成績で…、そんなふうに過ごす子がまだまだいる気がします。一方で、小学校高学年ぐらいから仲良しグループができ始めて、一緒じゃないとトイレにも行けず、友達関係に非常に苦労したり…。そんな女の子を唯一奮い立たせるパワーと言えば、それは「恋」でしょうか?

今ここで、女子だった私に何かアイディアを!というと、まだそこまではっきりと何かを具体的に言うことはできませんが(どちらかと言えば自分自身は、女の子仲間(?)の視線なんて気にしない、一人でも平気で好きに行動する子だった。フツーの女子らしくなかった)、男子が考えているのとはまた別の視点で考えてみたい問題です。

さて。そんな女子も今や親です(汗)。まだ、親として学校に関わるようになって1年。こちらについても「まだよくわからない」「うちの学校が普通(よくあるケース)かもしれないし、そうではないかもしれない」という感じではありますが。どちらかといえば、どんなことが待っているのかワクワク感の方が高いでしょう。それは多分、何かおかしなことがあったらツッコミ入れたり、子供とそのネタについて話し合う気満々だから、なのかもしれません。えぇ、「心のノート」。どんなのを持ち帰ってくるのか楽しみですよ(笑)