舞台「ナイフ」を見てきた

水戸芸術館であった、俳優、近藤芳正さんの一人芝居「ナイフ」を見てきました。

コロナでなかなか出かける機会もなく、仕事以外は家にこもるような毎日ですが。
市内で、一流の俳優さんの芝居が目の前で見られるなら、と、前日に決めて当日チケット買いました。

座席は全体の70%までという制限で、2席並んで1つ空く、みたいな人の配置でした。
自分の席は1階S席の一番最後列で、自分の真後ろにカメラがあったので、記録映像として残るものと自分の見たのがだいだい同じアングルになるのでしょう。

近藤さんといえば、私にとっては「真田丸」でスルメかじってた人(平野長泰)。
その後の、「西郷どん」や「青天を衝け」に出てたのも見てました。


水戸の後、東京公演が控えているので、ネタバレしたくない方はここでバックです。


登場人物は、父親と母親と、いじめを受けている中学生の息子。
地味な父親と、息子がいじめを受けていると知ってオロオロする母親と、そして、いじめに苦しむ息子を演じ分ける近藤さんの、すさまじい力を感じました。
それを、たった一人だからノンストップで演じ分けるのです。

途中、学校の先生にいじめについて相談をするシーンがあって、先生も近藤さんが演じたのですが、その、無関心というか、いじめと認めたくないというか、その小狡い感じがテレビで見る近藤さんの役のイメージに近くておもしろかったです。

ただ、今ならいじめがあったなら「とりあえず逃げてもいい」などのような様々な解決方法のメッセージがそこらじゅうにあふれているのに、息子はそれでも学校に行き、家族は問題解決についてほぼ本人内だけで閉じているばかり。
ストーリーが今の感覚に合わなくって、なんか違和感を感じながらも見てました。
調べたら、原作は2000年に出版された作品だそうで。

それとは別に、近藤さんの動きや表情、照明や音の効果、舞台の中の台とついたてを動かしての場面転換など、こんなにおもしろくできるんだと思わされました。

ちっちゃなナイフを得て、ほんの少しでも変われるとわかった父親から前向きな気持ちや気づきを得るというより、エンタメとしての生演技、舞台を楽しんできたという感じです。

とにかく、今回はチケットあってラッキーでした。
こういうのにアンテナ張って、コロナ禍でも楽しみ見つけていきたいです。

ちなみに終演後に意外な知り合いに会えたのも大収穫でした。

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