藻谷道場 下市歩き

デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)」で有名な藻谷浩介さんをお招きし、水戸の街を歩きながら魅力や問題点を見つけだし、今後どうしたら良いかを考えるイベントに、参加してきました。水戸の有志が企画したもので、これまでに数回行われており、私の参加は、春の上市に続いて2度目です。春のイベントの様子は、togetterでつぶやきをまとめてあります

今回まわる場所は、水戸の下市地区。上市は水戸城下で、江戸時代は武士がたくさん住んでいたそうですが、その時に、商人らが住んで街を作るように命じられたのが、下市だそうです。


最初にバスで向かった(常陸三の宮の)吉田神社では、震災ためか参道の階段が修復中で、車があがってゆける道を通って神社まで向かいました。鳥居は、このとおり金属で補強されておりました。丘の上にある神社から市街地を見下ろしながら、「この地域は昔は○○で、その後…」とすらすら出てくる藻谷さんの頭の中には、日本史、そして各地の街の発展と衰退の様子が全て入っているのではないかと、思わせられました。


下市といえば、備前堀です。水戸郷土かるたの「水田の みのり豊かに 備前堀」の読み札のとおり、農業用水として整備されたものです。この日は、台風に備えて水が少なくなっていたので写真のような感じでした。ただし「ヘドロがない」との藻谷さんの指摘。堀を整備する時にきれいにして、その後に生活排水などが流れこまないようになっているのでしょう。また、「ここに農業用水を整備することで、水戸の東側の地域でたくさんのお米がとれるようにし、石高をあげ水戸藩が潤うようにし、もしかしたら、大日本史の編纂事業費にもあてていたのではないかな…」などという藻谷さんの想像も出てきました。


その、備前堀の近くにある雑貨屋、MYA-ZUKIさんの、店長のネコさんです。ひげの生えているところに黒い点の模様があり、勝手に「ほくろねこ」と呼んでましたが、チャームポイントになっててかわいいです。「『こんなお店をやりながら、ねことのんびり暮らしたい!』と思う人は東京にたくさんいるだろう」と藻谷さん。深くうなづいてしまいます。

と…、見てきたこと、聞いたことを書き出せばきりないんですが。下市ランチ(うちのグループはスタミナラーメンだった!)をはさんでの街歩きで、
「ここはステキだ」
「このやり方は良くない、使いにくい」
「ここは、こんな歴史を感じさせる(想像させられる)」
「これは変だけどおもしろい、意外なことにうまくいっている」
「ここは、条件が不利な中でもがんばっているのだろう」
「このダメさが実は日本唯一、他では見れない貴重なものかもしれない」
などのお話をいろいろお聞きすることができました。もちろん、地元の方の解説もありましたし、歩きながら藻谷さんに質問する機会もありました。

市民センターに到着後は、問題点を改めて出して、藻谷さんの知る他の地域との比較を行ったりしました。その後、ここも残念ながら街が衰退、空洞化してゆく方向に行っているのは間違いないのですが、それにブレーキをかけ、小さな回復を繰り返してゆけるようにするためにはどうしたら良いのか、という案を、いくつか出しました。やはり一番は、「水戸の歴史を学んで、残してゆきたいと思えるようにする」のが良いのでしょうね。この場合は、水戸徳川家が治めていた江戸時代のことだけでなく、最近の商店街のお店の変遷(ケーズデンキが、もともとはこの街の電気屋さんだとは知りませんでした!)であっても良いのでしょう。

今回も、つぶやきまとめを作ってあります。http://togetter.com/li/382263

ところで。お話の最後、水戸のまちづくりからは一歩離れて、日本の貿易収支のお話がありました。実は、10/14のイベントのお手伝いをするということで、

の本を読んでいるのですが、そこに貿易黒字の話も出てくるので、とても参考になりました。こういったお話は、これまで考えたこともなかったので、自分の中で咀嚼して人にも言えるようになるにはまだ勉強不足ですが、これを機会によく考えてみたいです。