ナダレンジャー

“ナダレンジャー”というタイトルを見て、

「また、ヒーロー好きのあいつのことだから、新しいご当地戦隊でも見に行ったのか?」

とか思った方、残念でした。そりゃ、新しいヒーローとかも“生で”見たいですけどね(^_^;)


さて、ナダレンジャーですが。

ナダレンジャーで検索すればすぐにわかるので、あえてナダレンジャーさんご本人のお名前等はここには書かないでおくことにしますが、第3回小柴昌俊科学教育賞も受賞したことのある、とても立派な、科学を伝える人です。ちょこっと調べてみたところ、気象系のサイエンスカフェのゲストに呼ばれたこともあるとか(こっちは変身(?)前でしょうね、多分)。

茨城県には、おもしろ理科先生という、研究者や退職した学校の先生などが登録し、学校や地域で理科実験教室などをしてくれるという制度があります。まぁ、どこの自治体でもよくありそうなしくみですが。その先生として今回、子供の小学校にそのナダレンジャーが来られました。もちろん子供達と一緒に喜んで参加です!

防災科学技術研究所からやってきた「決して不審者ではない!」というナダレンジャーさん。私の場合、あらかじめいくつかのページでお顔を見てしまっていたのであんまり驚きはしませんでしたが。楽しい実験やショーを見てもらって、子供達に防災について学んでもらう、というコンセプトのもと、今日のショーの始まりです。

以下、いい写真が撮れてないのもありますが、いろんなもの(実験)を見せてくださいました。

最初に、空気砲で突風の力を紹介し、子供達の心をがっちりつかんだ後は、

次はご専門だという雪崩についてです。写真は、何万個(忘れました)というピンポン球を流して雪崩実験をした様子です。「この雪崩にまきこまれたいー!!」と喜ぶ子供多数!(笑)

こちらは、ナダレンジャー0号くんによる雪崩のモデル実験です。筒状のビニール袋の中に細かい発砲スチロールが入ってまして、斜めにすることでそれが雪崩を起こして流れてゆく様子が観察できます。1〜4号くんもありました(そっちは細長いケースの中に水と色のついた砂のようなものが入ってるの)。これらをですね、集まった子供達みんなが見れるように、「ザー」って流しながら座ってる子供達の方へと派手にまわってくれるわけですよ。たまたま私はその筒の下から見ることができましたが、自分がその、白い粉の下敷きになってゆくような感じを見ることができました。

特筆すべきは、その、雪崩っていうのは単にざーっと流れるんじゃなくって、頭と尾を持ち、頭がうずを巻くようにして流れてゆくこと。不思議ですね。で、そんなうずを巻くような頭に巻き込まれたら、どんな力がかかりどこへ流されていってしまうのかわかったものではないこと、なんだか怖く感じました。

次は落石の実験です。石がどうやって転がるか、なんですが…。永遠に転がり続ける様子を観察するためには、写真のとおりなんだそうです。たまたまここに乗っかってるのは球形のものですが、かぼちゃとか、キティちゃんとか、いろいろ転がしてらっしゃいました。

そして、参加者に持ち物として指示されたペットボトルを使って、みんなで液状化現象の観察装置作りです。これが通称「エッキーくん」。ボトルに、球に針がついたピンと砂を入れ、さらに水を入れていっぱいにします。ボトルを降ると全体がまざり、そこから立てた状態で静止させると砂が底にたまってゆくわけですが、ピンも砂にうまります。そこにデコピンしてやる(=地震を起こしてやる)と、液状化現象によりピンが中から浮き出てくるのです。

最後は、地震の固有振動の実験です。どのくらいの震動の速さのゆれで、どのビルが一番よくゆれるか、ってことですね。

そして、発砲スチロールを重ねてできたビルをゆっくりとした震動で破壊して(速い震動では壊れない)、終了です。ここでただ倒して終わりじゃなくって、ちゃんと崩壊したビルの下敷きになる子供を募集するところがポイントでした。


以上、写真にそってこの日のメニューを紹介しましたが、もう、子供達は前に乗り出し、「自分もやりたい」「実験のターゲットになりたい」と手を挙げ、ワーワー、ギャーギャー、めちゃくちゃになって大騒ぎ。ナダレンジャーはすっかり子供たちの気持ちをつかんでました。身近なもので、防災というテーマのもと、これだけいろいろな実験(というかおもちゃ)ができるとは! いや、本当にすごいです。高学年の子とかは、「自分も作ってみたい」と思ったりしたものもいくつかあったでしょうね。


ただ、私(だけ)としては、災害にはどういうものがあって、身近にどんな危険が隠れていて、普段から何に気をつけたらいいのか、という、実際の防災へのつながりの話がもうちょっとあるかなと思ったんですけど、意外と少なかったので拍子抜けした点もありました。「防災コミュニケーション」という意味でちょっと期待しすぎちゃったかもしれません。「突風はこんなに力があってコワイ」「こういうふうになったら簡単に死んでしまう」「地震は、建物の倒壊よりも家具などが倒れてくる方が可能性が高く、それが危険」と、ちょこちょこ大事なことはおっしゃってるんですが、それが子供達…、ではなくても周囲にいた大人達に届いているのかどうか…。

“とにかく目立つ”とか“おもしろい実験”というのと、“その意味を知ってもらう”とか“次の行動へと結びつける”ってのは、限られた時間では難しいのでしょうか。

無関心層を中心に全年齢がターゲットというナダレンジャー。大人向け実験メニューと解説もあるなら、是非見てみたいです。