哀憑歌 〜CHI-MANAKO〜

哀憑歌 CHI-MANAKO [DVD]

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3月にゆうばり国際ファンタスティック映画祭でも上映(&舞台挨拶)されたこの映画、同時期にスカパーで放送されたのを録画したものを見ることができました。映画公式サイトはこちら

これ、いくら出合さんが出演するとはいえ、ホラー映画です(泣) 苦手を通り越して、「無理に見て恐ろしい思いをしなくたっていいのに」みたいな感じの私なんですが…。でも、見たいのには変わりなく、出合さん出演部分中心に見ました。すみません怖いシーンだけは早送りしちゃったんです。けど、これが、ただのホラー映画ではなかったこと、ちょっと考えさられてます。

見てない方もこちらの映画評なんかを見ればおわかりになると思いますが、『むやみな動物実験反対』というのが、この映画のテーマであり、訴えたかったことのようです。写真・資料提供には、AVA-net、ALIVE(地球生物会議)、東京海洋大学の名前がありました。

(主人公が使ってた)化粧品に限らず、医薬品のため、それ以前に食べるために、動物を繁殖させて、殺すことがあります。では、それは一体どこまで許されるのでしょう? 実は一緒に見てた、身近に動物のいる友人が、「でも最近は、あんなふうに残酷に(血だらけに)、動物に痛みがともなうような実験はしなくなる傾向にあるよね」って教えてくれたのですが、そのあたりの実際を知りたくなる、そんな気持ちが残りました。

エンタテイメントな映画なんだから、ホラーやその他で映画の中だけの非日常をおもしろがって(怖がるも含む)いいんでしょう。一方で、テーマとしての新たな着眼点や伝えたいメッセージの、それをどの程度含め、どういう形で表現するのか…。そればかりを丁寧に描くのか、娯楽重視で着眼点は映像の中ではヒント程度でいいのか、そのあたりのバランスが難しいものだな、と思わされましたが。

…という、ホラーのはずなのにホラー部分をまるで無視した見方をしてるのは、一方で、作者の見せたい部分を無視してるわけで、あまり良いことではないかもしれません。恐がりのくせにそれほど気持ち悪く思えなかったのは一部目を逸らしたせいもあります。この作品がホラーとして映画ファンに喜んでもらえるかどうかというのは、上の批評にもあるとおりなのかもしれません。

もうちょっと硬派だったらなぁ〜。終わった後に、映画監督、それから実際に動物実験してる専門家、そして反対派のお話を聞いてみたくなりましたね。サイエンスカフェとかやったらきっとおもしろいのに(と思うのは私だけ?)。



おぉ!? 

カテゴリが「出合正幸」なのに、出演部分の感想をまるで書いてませんでした(^_^;)

出合さんがブログでおっしゃってたとおりの、とってもポジティブな役でした♪ 

恐怖に顔をゆがめる主人公美咲(田畑智子さん)に対して、
「どうした?」
「大丈夫か?」
って優しく気遣う彼氏の健哉役。普段はバイトと売れないミュージシャンのかけもちというヒモ男。でも、美咲が妊娠したかもしれないと知って、お腹にすがりついて喜んだり、
「定職に就くよ」
「贅沢できなくったっていいじゃん」
って言ってくれるところなんてぇ〜。映画館で見たライムさん「癒される彼氏」って感想書いてましたが(id:lime-main:20080416)、まさにそんな感じでした。戦う男ではない、今まで見たことない役で、この映画の恐さも忘れてほんわかしてしまいました。

「最高級でないと」と言って飾ったためうさぎにとりつかれたのは美咲の方でしたが、「贅沢しなくてもいい(十分幸せ)」という健哉の言葉が、一方で、動物うんぬんを抜きにして、何が幸せなのかということを考えさせる隠されたメッセージであると感じました。だって、体の変化にとまどい一人ぼっちになって苦しむ美咲が、健哉が残したピックを拾って何かを思うシーンを入れてあるのもそういうことかと。

あ…、これはかなりひいき目の偏った見方かもしれません…(^_^;)