携帯電話のSAR値

先日のサイエンスカフェで携帯電話による人体への影響の可能性のお話を聞いてきましたが(id:camelopardalis:20070210)、その中で触れられたのが「SAR値」でした。

携帯電話は電波を使っています。その電波も電磁波の一種ですから、加熱作用があります。SAR値はその加熱作用に基づいた値で、身体の単位重量あたりの組織に与える熱量のことで、単位は W/kg です。上田先生のお話では、携帯電話のSAR規制値は各国によってかなりのばらつきがあるというのです。ちなみに、日本の規制値は 2.0W/kg、それに対して、米国では1.6W/kg、もっと低い値を出している国もあります。人体への影響がまだよくわかっていないとはいえ、なんとなくおかしな話です。

買った携帯電話の取扱説明書や携帯電話会社のWeb Pageにも、その機種のSAR値が出ているというので、早速自分のところにある説明書を見てみました。あったあった!

以前に「とりあえず通話くらいできればいい」ということで持たされた vodafone 302SHは、0.86W/kg でした。

そして、昨年秋に買い替えた SoftBank 705SH は、0.44W/kg でした。やっぱり新しい機種だから低いエネルギーでも十分な機能が果たせるようにできてるんだ〜。なんて、ちょっとほっとしたのもつかの間、となりのページには米国、欧州などの測定方法とも照らし合わせていて、別の値も書いてあって少しがく然としました・・・。こ…、このいろんな値をどう見ればいいの!?

こう見ると、誰でも持ってて簡単に手に入る携帯電話も、健康への影響を考えた規制値があって、それが満たされるように作られているということがわかります。それは、裏を返せば、間違った使い方をする人はまずいないでしょうが、間違うと危険があるかもしれない、ということも示しているのでしょう。

また、果たしてこの(日本の)規制値に本当に意味があるのでしょうか? もっと低い値で厳しく制限してもいいのかもしれません。もちろん、利用する側が、もしかしたら危険があるかもしれないということを認識して、買う、説明を読む、正しく取り扱うのも、意味のあることなのではないかと思いました。

ちなみに、秋にも書いたかもしれませんが、私はもともと携帯を持ちたいわけではありませんでした。1年半前に(イヤイヤ?)持たされた時は、本当に使う気なかったんですが…。半年前に状況一変! 携帯専用サイトにアクセスしたくなり(いつものあの方が出てるVBのことです)、いろんな機能がついているものに機種変更しました。今では慣れないながらも、せっせと文字を打ったりしてることも…。

携帯電話、しかも、高機能のものを持ってて当たり前、ない人とは情報格差が生じるというこの状況は、今の時点では“商売が上手いよ”と言って(笑うか泣くかして)済ませられるのかもしれません。しかし、いずれ、電気や電話が各家庭にあるように、個々人が携帯電話を持ってて当たり前という前提のもとに公的なサービスまでもが行き交う世界になるのかもしれません。

そうすると、ますます、電波とのおつきあいを考えてゆかなければならないと思うのでした。