クロスステッチで宇宙を描く

出合さんファン仲間シシィ☆さんが、クロスステッチ刺繍入りの小物作成過程をブログに載せてらっしゃったので、つられて昔(本当に昔です!!)の私の作品を紹介させていただきます。といっても、私がやるやつですから天文がらみです。子供ができてからはあんまりやってないのですが、好きなんですよ。普通の刺繍より簡単だし、額に入れても良さそうな豪華な(アート?)のもできあがるし。

南の天の川

まずはこちら。結婚式のウェルカムボードを自作いたしました。

今は部屋に飾ってあります。イニシャルのところはこの画像では隠してあって、「&」しか残してありません。

これ、何だと思いますか? けっこう真っ白になってしまったのでわかりにくいかもしれないのですが、南の天の川なんです。日本からは見えません。

中央が南十字星、その横の黒いのが、暗黒星雲の石炭袋(かの有名な「銀河鉄道の夜」の終着駅にもなっているところ)、右にエータ・カリーナ星雲、左の大きな星がケンタウルスα、βです。

手持ちの写真を拡大し、そこに升目を引いて適当に色を決めながら刺繍してゆきましたが、か〜な〜り時間かかりました。ここだけ(ものすごく)手をかけて、あとは式場におまかせって感じでしたが。とにかく、今までで一番の大作です。そして、二度と同じものはできません(^_^;)

オリオン星雲と分子雲

こちらはも〜っと前、10年以上前に作ったかと思います、クッションです。でも、だいぶつぶれて既に座布団になりさがってます。表がオリオン星雲(M42)です。

オリオン座の三つ星のちょっと下にある星雲で、望遠鏡があればこんな、鳥が羽を広げたような形を見ることができます。こちらも、手持ちのカラー写真に線を引いて7色くらいで刺してみました。HII region なんて書いてるところがまた、“天文学の勉強したてです”っていう初々しさを表しているような(笑)

で、その裏なんですが、こ〜んなんです。

ORION MOLECULAR CLOUDS、日本語にすると「オリオン分子雲(ぶんしうん)」。オリオン星雲についてちょっと知識がある方なら、そこでは赤ちゃん星が生まれているっていうのは御存知でしょう。星が生まれるためには、そのもととなるガス雲が必要なのですが、実はオリオン座のところには、可視光では見ることができないガス雲がこ〜んなにあるのです。見えないガス雲から出てくる電波を観測することで、分布や量を調べることができます。ほとんどが水素分子でできているので、こういった星が生まれるもとになるガス雲は「分子雲」と呼ばれています。

この刺繍のもとにしたのは、1986年に出たアメリカの研究グループによる観測結果です。アンテナの直径が1.2mの、わりと小型な電波望遠鏡を使って、オリオン座の方向の分子雲の分布を明らかにしました。星座の星を入れてみたのは、こちら。

写真の説明に入れ忘れましたが、ピンク色で刺繍してある丸いような形は、バーナードループと呼ばれるものです。ガスの量で色分けでもしたかったのですが、そこまでは手がまわらず…(逆にわかりにくくなるかと)。でも、この刺繍、一つの×が、この観測の分解能(どのくらい細かく観測しているか)の30分角に合わせてあるのが、こだわりの1つだったりします。

この作品、研究室の自分の椅子に置いてけっこう長く使っていたので、天文好きさんから研究者の方まで、見てもらう機会が何度かありました。アマチュアな方は表の方、電波天文関係の方は裏面に興味を示されますね。ある先生が、どこかの外国人研究者の奥様が、似たようなこと(観測結果を刺繍画にしてる?)っておっしゃってたのを覚えているのですが、それが誰先生だったかは残念ならが記憶になくて…。そして「世界で一番遅い画像表示方法だね」な〜んておっしゃってました。めちゃくちゃ遅くても、そこに、手作りの良さがあるということでしょうか。

ちなみに、オリオン座とそこでどんなふうに星が生まれているかについては、例のCD-ROMの体験版のページでも見ることができます(こちら )。

しかし、「手芸」と「天文」だなんて、こんなんやってるのはやっぱり私くらいなんでしょう。最近、新しい作品を作ってないのですが(ブログに載せてるのではid:camelopardalis:20050214があるくらい)、ちょっとまた、何かやってみたくなりました(暇ないくせに…)。