放射能・放射性物質については、本当に難しい…。本もたくさん出てはいるけど、そんなの難しくて読めない! 原発事故関連のコーナーにはいろいろな本がたくさん並んでいて、科学的な事実として、対策として、何をよりどころにしていいかわからない…。
そんな方のために、科学的なことをきちんと説明しつつ、やさしい本の必要性が言われています。
代表的なのは、学習院大学の田崎先生の本
- 作者: 田崎晴明
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2012/09/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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でしょうか。
でも、「これよりももっとやさしく!」という話を聞いたもので、年明けくらいからぽつぽつと、図書館の子供コーナーにある放射能関係の本を探してみるようになりました。下の「続きを読む」以下が、見つけた数冊の、その簡単な解説です。
今年1月頃から下書きを書いたり放置したりしながら、日にちをあけて図書館とか書店とかの子供コーナーを訪れると…、増えてるんですよ、本が、やっぱり。先日はジュニア文庫な形式の本も見つけましたし(つまり文字メイン)、一方で、学校の先生向けのコーナーには、「放射能について子供にどう説明するか」にのみ特化した指導書みたいなのがあるのも知りました。
子供向けに限ったとはいえ、次々と出る本をチェックするのは大変なので、このあたりで一度アップしておきます。これだけ見てきてオススメなのは、やっぱり、写真や図の多い資料集タイプのもの、かなぁ。これだけいろいろあっても、子供向けの本は子供コーナーにあって「知りたい」と思った大人が目にする機会は限られているのですよね。
どこから来たの? どんなもの? みんなが知りたい放射線の話 (ちしきのもり)
- 作者: 谷川勝至
- 出版社/メーカー: 少年写真新聞社
- 発売日: 2011/12/27
- メディア: 単行本
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著者の谷川勝至さんの専門は、核化学・放射化学、とのこと。本では、子供に読みやすいようにと、放射線の話を丁寧に説明してる印象を受けます。不安定な原子核が崩壊する話、自然の中の放射線、放射線の利用(医療等)など、基本を順番におさえてあります。外部被曝と内部被曝の違い、人体への影響の話も、ある程度具体的に書いてあります。2011年末の発行なので、食品の基準値の解説は以前の暫定基準値のままなのですが、仕方ありません。
他と解説本の違って縦書きなので、国語の教科書にあるような、語りかけるような説明文を読んでいる印象で読み進められる本だと思います。最後に付録として「大人の方々へ」と、文字の小さい大人向けの文章(本の1/5くらい)、そして、「参考になる本やサイト」として、本文中では触れられなかった原子力発電所の問題点についてなどの本(ほぼ子供向け)も紹介してあります。
- 作者: 市川章人,小野英喜,安斎育郎
- 出版社/メーカー: かもがわ出版
- 発売日: 2012/02/01
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定年退職された高校の先生が執筆、安斎育郎先生が監修されています。原子力発電所のこと、将来のエネルギー問題に関して議論するために、放射性物質や放射線のことを正しく理解していないといけない、ということで、書かれた本だそうです。
原子力発電所、放射線と放射能、新しいエネルギー、と、おおまかに3つに分かれていますが、その中でさらに細かな質問(テーマ)について、4ページずつの解説がつきます。原発の解説が最初についたことで、今回の事故がなぜ起こったのかなどの解説も、原子炉の図などを使って解説されています。
子供向けコーナーにはありましたが、今後のエネルギー問題を考える入門、資料として、気になる項目から読んでゆくのも良いかもしれません。ちなみにうちに置いておいたら、子どもが真っ先に見つけたのは、日本の原発の数が示してある日本地図で、稼働しているか廃炉なのか、というところでした。
- 作者: 山田ふしぎ
- 出版社/メーカー: 大月書店
- 発売日: 2012/02
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ポケモンのマサト役などでおなじみの声優の山田ふしぎさんは、サイエンスライターでもあり漫画家でもあるというのは、この本で知りました!
幼稚園児から、小学校低学年の子供まで読めるようにと書かれている本。表紙裏(カバー)には、野口邦和先生(日本大学准教授)の推薦の言葉もあります。
前半は、「ぼくのおつかい」。原発事故が怒ってから2週間くらいが経ったある日のこと。おつかいに出かける“ぼく”に、テレビ報道などで勉強しているネコのニャンキーが、“放射性物質が落ちているかもしれない”ということで、外出時での注意などを一緒に歩きながら教えてくれる、という構成になっています。「じぶんの身はじぶんで守る」という言葉に表されるように、放射性物質が出てしまった時にどういうふうに行動すれば良いかということが、かわいいイラスト、動物達も交えて、描かれています。
このような内容は、ここ茨城でも原発事故が起きた際にどうするかという災害対策訓練が学校で行われている、そんなのに近いかなとも思わされました。
後半は、「もう少ししりたい放射線」。放射性物質はなぜ危険なのかや、原子力発電所について書かれています。チェルノブイリの事故のこと(亡くなった人もいる)や、核のゴミ問題まで触れています。
やさしくするため、内容を削りに削って必要なところまでにすると、こういうふうになるのかな、といった感じではありますが。事故から時間が経過した後(既に2年)、改めてどういうふうに過ごしたらいいのか、何に注意したら良いのか、といったことが書かれてないのでは、やっぱり、いつまで経ってもどこへ行っても、マスク着用で砂遊び不可なのかな、という印象ばかり残るような気がしてしまいました。
- 作者: 新美景子,野口邦和
- 出版社/メーカー: 大月書店
- 発売日: 2012/01
- メディア: 大型本
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監修は、上の本と同じく、野口邦和先生。
とにかく、「カラー図解」ですから本も大きいく、絵や図が大きくフルカラーで載っています。写真も地図もグラフも説明の図もあり、理科の資料集みたいです。放射線の基礎から、これまでの世界各地での事故について(チェルノブイリも、東海村JCO事故も)、そして、福島第一原発事故によって空間線量率がどのようになったか、航空機モニタリングの図もあります。
ちなみに、うちの子が興味を持って見てた(私に聞いてきた)のは、原子核の崩壊の図、どの種類の放射線が何でさえぎられるか、どこまで飛ぶか、そして、校庭の表土はぎ取り(除染)の写真、でした。
すぐに全部が理解できなくても、手元に置いておけば、時に放射性物質の物理、時にこれまでに放射能が環境中へ出た事実の歴史、時に人体に入るとどうなるかなど、パラパラ見るのにちょうど良いのではないかと思います。「あの説明の図、どこだっけ?」ってネットを改めてさまよって探すなら、印刷物として基礎からの図がまとまっているのには、ちょうど良いのかなぁ。他に大人向けでもこういう資料集ってあるのでしょうか。
- 作者: 野口邦和
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2012/04
- メディア: 大型本
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さらにこちらも、野口先生監修。大判の本ではありますが、上の本よりも図が少なく、解説文が多い印象です。資料集っぽいですが、子どもが読むなら、ある程度文字を追うのも苦にならない年齢向けでしょうか。元素の周期表から、低線量被曝についての考え方、緊急時の対応まで、幅広く扱っています。
ちなみにこちらも、「よくわかる原子力とエネルギー」シリーズの1冊なので、セットでそろえておくと、今後のエネルギー問題について考える資料となるのかな、と思います。そういえば、よくある図鑑シリーズでも「エネルギー」についてまとめてあるものはあまり見たことがありませんから。