ヴァイオリン職人 高橋明さん

ヴァリオリン職人の高橋明さんの講演会へ行ってまいりました。リンク先の高橋さんのページへ行っていただければすぐにわかるのですが、昨年の第13回チャイコフスキー国際音楽コンクール、ヴァイオリン製作部門にて第2位シルバーメダルを受賞されている、すごい方です!

聞けば、大学時代はヴァイオリンとは関係のない物理学科に在籍してたということで、今回、その学科が高橋さんをお招きしてお話していただくことになり、その場の聞く側にもぐりこませていただきました(^_^;)

前半約30分は高橋さんをゲストに迎えたテレビ番組、読売テレビ | グッと!地球便が上映されました。ここで、イタリアで実際にヴァイオリンを作ってらっしゃる様子、生活の様子、それからイタリアの町並みなどが紹介されました。これでおおよそどんな活躍をされているかがわかったので、後半はもう、会場からの途切れることのない質問ラッシュでした。

ヴァリオリン制作や道具についてのこだわりや目標、イタリアで学び、生活することの苦労などが語られる中、一番みなさんが聞きたかったし、高橋さんも強調されていたのは、その、どうしてこういう仕事をするに至ったか、ということでしょう。若い学生さんが聞く側にたくさんおりましたから。

習ったこともないのに13歳でいきなり趣味でヴァリオリン作りを始め、それでも大学は物理を学び、卒業後に会社勤めをし…、始めてから15年も経ってようやっと、「やっぱりヴァリオリン作りを仕事にしよう!」と決意された、その15年は進路を決めるには長すぎだったのでしょうか? いえ。高橋さんは、「自分のヴァイオリン作りに対する情熱が、そこまで(仕事にしたいと思うだけ)あるのかどうか試すのに、それだけ時間がかかった」と、それがどうしても必要だったことのように語られました。決して無駄ではなかったのです。

大学時代に、もしかしたらそれ以前に「やりたいことは何?」と聞かれて仕事や夢を決めなければならないと言われるこの頃ですが、たくさん悩んだっていい、多少遅くなったっていいと思わせるこの言葉に、なんか勇気をもらったような気がしてきます。

私からは、「なぜ大学で物理を学ぼうと思ったのか」ということを質問させていただきました。大学進学時や研究室選びの時の心境を少し語っていただいたのですが、「物理って一見難しそうでいて、頭の中で(理由を)よく考えると、『そうなんだ』ってわかる学問、そういうところが好きだったから」だそうです。「物理を学んだこともヴァイオリン作りに生かされている」、とおっしゃってました。このことから、物事の理屈をよく考える、よく言われるところの理系な「論理的思考」が好き&得意で、それがヴァリオリン作りという(職人的)技術に結びついているのではないか、そんなふうに私は感じました。

最後に、受賞したヴァイオリンを実際に演奏していただきました。本来ならば受賞楽器は返却されないのだそうですが、いろいろ訳あって一時作者の手元にあるというそうで、見せていただく側にとっては大変嬉しいことです。左が演奏する高橋さん、右がそのヴァイオリンです。シルバーメダルも見せていただきました。オーケストラも部活程度でやったことある音楽経験者の私ですが、弦楽器はほとんど触れたこともなくって全くわからないんですけど…。でも、こういうバックグラウンドの人が、こういうった苦労を経て作っているものだと知って、(ありきたりですが)いろいろ勉強になりました。応援したいです。

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何か書き忘れてないかですって?

はい、キバですね。そうですね。

現在放送中の「仮面ライダーキバ」は、主人公の少年はヴァリオリンを作ってるんです。ちゃんと初回から見てますよー。戦いとか人間関係がどうしても前に出てくるお話ですから、ヴァイオリン制作は最近では背景みたいなものになりつつあって、工程もこだわりもいまひとつよくわからないんですが…、今回の高橋さんのお話を聞いて「そういう世界なんだ」というのがまた少し、見えてきた気がしました。

物語も中盤にさしかかってお話もいろんな展開を見せてくれてますが、せっかくのヴァイオリンという題材、その上での父子のつながりを、今後もしっかり描いて欲しいと思ってしまいますね。