サイエンスカフェ@明石 「太陽系と生命」

ブログでも告知させていただいたとおり、明石市立天文科学館にて、科学技術コミュニケーターとしてサイエンスカフェのお手伝い(ファシリテーター)のお仕事をさせていただきました。

ゲストは関西大学化学生命工学部の矢島辰雄さんです。実は矢島さんは、大学時代の夫の友人でして、某大の院生時代は飲み会でご一緒させていただいたり、某アーティストのライブへみんなで行った仲でした。けど、なぜか当時は研究されてる内容なんてあんまりお話することもなく、この場にて本当に久しぶりにお会いすることになりました。なつかしかったですね。

10時20分からまずはプラネタリウムの上映です。学芸員のIさんの慣れた生解説で、今見えている一番星の木星や、夏の星座の解説がありました。そして、「この宇宙に生命はいるのでしょうか?」という前ふりで、ゲストのお話へとつながります。

テーマは「太陽系と生命」。副題には「水は宇宙からの贈り物」とあり、化学者としての側面から宇宙における生命の可能性について話が展開されてゆきました。

宇宙における生命の可能性を考える、となると、複雑な有機分子とかアミノ酸とか、そういう「生命そのものにつながる物質」があるかどうか、あるとしたらどこなのか?ということに興味が行きがちです。けれども、私が意外に感じたのは、お話の中心はそういうことではなくて、「化学反応で生命活動のエネルギーを取り出しやすい場所」として、液体の水の重要性をわかりやすく話していただきました。いっくら生命のもとになりそうな物質がうようよしてても(してるかどうかわからないけど)、それが生命活動ができる場所、環境もすごく大切だったんですね!

最後は「ハビタブルゾーン」にあるとして初めて発見された惑星、グリーゼ581cが紹介され、スクリーンが消されたところに現れたプラネタリウムの星空にて、てんびん座のグリーゼ581星の位置が示されました。学芸員さんと矢島さんのやりとりなんかもあった後、プラネタリウムの上映が終了。ここでだいたい11時過ぎたところでした。

明るくなってからざっと見たのですが、プラネタリウムにはざっと100名程度のお客様が来てらっしゃいましたが(きちんと数えてないので目測です)、休憩をはさんで、そこから、16,7名の方が、サイエンスカフェの方にも参加されました。部屋と座席の関係で定員が20名程度だったので、ちょうど良い人数だったように思います。

会場は、プラネタリウム向かいの小会議室です。上映前にも入らせてもらったのですが、明石のみなさんでこ〜んなに素敵に飾っていただいてました。ドアを開けたところにあったのが、上の小さい写真にある看板です。

結局、飲み物は明石のスタッフの方がコーヒーなどを用意してくださり、テーブルにはちょっとしたお菓子があって(明石名物子午せんも!)、こちらの参加費は無料となりました。

参加者は、年配の方、家族連れの方(子供さんも)、若い方もいろいろでした。私が司会をさせていただき…、というわけでしたが、次々に質問が出まして、司会で場をつなぐなんていうことはあまり必要なく盛り上がりました。宇宙における生命となると、みなさんの興味は尽きなさそうです。ただ、化学というより天文関係の質問にシフトしてしまうとゲストの専門と離れてしまうので、そのあたりは学芸員さんにも少し助けてもらいながら進めさせていただきました。

一番最後には、天文関係ではなくて矢島さんがおもしろいと思っている、実際に研究されている化学のテーマに関しての質問もあって、意図せず良い締めになったのではないかと勝手に思ったところです。あまり一般の人に説明する機会のない基礎研究を伝えられる稀な場になったかもしれません。

予定どおり12時をちょっとまわったところでお開きとしましたが、もっと時間が取れれば良かったなぁ〜というのが率直な感想でしょうか。でも、参加された方の満足度は良かったように思えます。

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ところで、実はこの時、明石市立天文科学館には博物館実習の学生さん3名が実習に来ていらっしゃって、カフェ会場の飾り付けから手伝っていただき、カフェにもおつきあいいただきました。

その方々に、「サイエンスカフェとはどういうものか話して欲しい」というのも依頼されてまして、つたない資料を作ってお昼ご飯を食べながら、お話させていただきました。といっても、いきなり「サイエンスカフェとは?」に入れるわけではないので、結局は、「今、必要とされている(注目されている)科学技術コミュニケーションとはどういうものなのか?」なんていうのから始まって、その中で、新しいコミュニケーションイベントの形としてサイエンスカフェがある、という、自分がCoSTEPで学んできたことも含めてざっと話させていただきました。

3人とも文系の女子学生さんでしたが、星や宇宙に興味があって明石を実習先に選んだそうです。みなさんにも、サイエンスカフェというイベントはおもしろそう、というふうに思ってもらえたみたいです。

サイエンスカフェの目的や特徴(講演会との違いなど)を解説しきった後に質問されたのですが、では、科学とは無関係だったけど興味を持った人(例えば彼女のうちの誰か)がサイエンスカフェをしようと思った時に、何が必要なのでしょうか? 簡単に書いてしまえば、まずは、

  1. ゲスト
  2. 参加者

です。こう書くとどれも簡単そうですが、やってみようとするとハードルが高いような気がします。特に、文系で科学関係に知った人がいない場合は、2のゲストをどう選んで、OKの返事をもらってくるかでしょうか。

今回のサイエンスカフェは、明石の方が人脈を使ってゲストを選ばれて私はそれに乗った形になりましたが、実際にサイエンスカフェを1から作るということは未経験です。この日に話した理想だけでなく、実際に最初から動く場合の大事なことなどをもっと身につけ、それも後に続く人に伝えてゆかなければならないな、とみなさんと話していて教えられました。

準備も大変でしたが、貴重な経験をさせていただきました。また、こういったイベントに関わって、いろんな人に楽しんでもらえたり、考えたりしてもらいたい、そう思ったものです。