最後の講義

書こう書こうと思っていて、結局今ごろになってしまいました。しかも、今ごろになったのであの時考えてたことの半分も書けてないと思います(いずれもし機会があれば…)。

2期生向けの講義の中で、一番最後のものが「天文」の講義でした。でも、あったのは11月です。タイトルは「天文研究とアウトリーチ活動」。お話されたMさんは、大学は違ったけれど私と同じ歳で、院生の頃からの知り合いでした。

天文分野(のこういった普及活動)は、他の分野に比べて10年進んでいる

というテーマのもと、Mさんの勤める公開天文台の特徴の紹介や、当時話題だった冥王星のこと、そして、Mさんが取り組んでいらっしゃる研究活動の紹介(彗星スペクトルセンター)などがありました。

・・・が、正直、同じ分野で過去に活動してきた私が思い描く「科学技術コミュニケーターを目指す人に聞いて欲しい天文分野の特徴」と、お話されたことが多少違っていたので、e-Learningの画面を見つめながらもどかしい思いもしていました。

まぁ、そんなことは置いておきまして。Mさんが講義でおっしゃった大事なことが3つ。

1.本物体験
本などからの知識やバーチャルなものよりも、天文なら本物の星を見ることで感じることがある。是非、本物に触れる機会を持とう。

2.人には本質を見抜く力がある
(これも「本物体験」と結びつくかもしれないけど)あらかじめ説明や予備知識なくとも、体験したことから、そこにどんな本質があるのかを感じる力がもともと人にはある。その後に、見抜いた本質の内容を勉強で付け足すことができる。

3.アウトリーチ活動の成果が出るのには時間がかかるので、腰を据えてやる
例えば小学生に星を見てもらって、すぐに理科好きになるとかそういう期待はできないし、話す方もそう思ってやってるわけではない。この体験が何年後、いやもっと後になって、自然はすばらしいと思い出すとか、他の人を誘ってまた見に来てくれるとか、何かのきっかけになってくれればいいかもしれない。成果が見えない分迷うこともあるが、信じて進むべき。

これらについて、補足も含めていろいろ意見などもあるかもしれませんが、いずれも大切なことで、こういった活動をしようとする私達は、気をつけてゆかなければならないと思いました。

けれども・・・。


成果が出たかどうか今すぐにははわからないこういった活動…、その成果を感じる前に、Mさんは突然に、新たに魅せられた彗星のように遠くへ行ってしまいました。

 もっといろんな考えをお聞きしたかった・・・

 議論してもらえるならしたかった・・・

 いつか、一緒に仕事ができるようになりたかった・・・

なのに、もうそれもかないません。

どうか、ゆっくりお休み下さい。そして、夜空の星となって私達を見守っていて下さい。ありがとう。そして、さようなら・・・