スイスの星占い

スイス在住の方のブログに、とても興味深いことが書いてありましたので、トラックバックいたします。コメントもさせていただきましたが、限界がありますからね。
そう、それは、スイスの雑誌に出ている、星占いの12星座のイラストについて、です。


注目すべきはやはり、後半に出てくるイラストの方です。もう、ここまでくると、星座の解説なんかよりは、本文やコメントで盛り上がっていらっしゃるように、文化の違いの表現を楽しむしかありません。問題になっているうお座の「魚の切り身(?)」なんかは、いくら天文や星占いに詳しくとも、ドイツ方面の生活を知らなければ理解できるはずがありません。私も当然ながら、初めて知りました。私なんて、最初見た時は、今流行りのスティックタイプチーズケーキかと…。

コメントさせていただきましたが、おとめ座が鍵つきなのは、神話のもとになっている女神が処女だからでしょう。おとめ座は歴史も長いので、もとになるでしょう神話はた〜くさんあります。ギリシア神話に出てくる神だけをあげれば、誰があの乙女かというのに、候補者がが何人かあがります。農業の神デメテル、その娘で冥王ハデスの妻となったペルセポネ。(詳しい神話のお話は、いっぱい他のページもあるので別に探していただくとして) でも、この二人とも結婚してるし、近くに正義を計る「てんびん」があること、そして、星座の名称がVirgo(英語表記では)という、処女の意味を持つ呼び名であることから、正義の女神のアストライアではないかというのが、通説のようです。

ギリシア神話を少し読み進めたことがある方ならおわかりのように、あっちはもぉ〜、「何でもあり」の世界です。大神ゼウスがあっちこっちの女性と子供を作ったなんてのは序の口。女神の方もひっくるめて、(はちゃめちゃ)恋愛話ばっかりです。去年に映画になった「トロイア戦争」だって、パリスのヘレネ略奪が発端ですし(映画「トロイ」、見たいんだけどまだ見てないんです…)。

そんな中で、「私は夫を持ちません」と宣言し、女神の仕事をまっとうされた(?)お方がいらっしゃいます。戦いの女神アテナ、月と狩猟の女神アルテミスなんかは有名どころ(アルテミスは周囲に女性をいっぱいはべらせてたなんて話もありますし)。そのくらい有名で主要な登場人物ではありませんが、アストライアも「男なんて!」という方だったのかもしれません。「処女」というと、現代の価値観に合わなくて抵抗を感じる方も多いかと思います。けど、昔々、神話を作っていった人々は、そういう女性を表現したかったのかもしれないなぁ〜、と思うのですが、どうなのでしょう。そういう意味で付けられたVirgoを、日本では「おとめ座」と翻訳してしまったので、誤解を生じてるのかもしれませんね。

そういえば、トロイの遺跡を発見したのも、ドイツ人考古学者のシュリーマンでした。子供の頃にギリシア神話トロイア戦争)を読んで、「これは本当にあった話に違いない」と(誰もが疑ったのに)信じて、何年もかけてお金を稼ぎ、晩年になって発見したというのは、伝記の本にもなってるくらい有名な話です。ドイツとギリシャでは随分と距離があるようにも見えますが、やっぱり同じヨーロッパ。日本なんかとは比べものにならないくらい、ヨーロッパの人はギリシア神話に親しみがあるのでしょう。「おとめ座」のイラストの「鍵」も、神話の登場人物を知ってるからこそ、などと思ってしまうのは、私のただの良心的な解釈…、かな?

(余談)しかし、忘れかけた知識だけで書いていざ登録すると、キーワードにちゃんといろいろ書いてあったりして、焦りますね。修正が大変です…。